北里大学の関連医療機関である北里研究所病院の形成外科・美容外科部長を任される佐藤英明医師。その技術力と経験は他の美容外科医からも高く評価されている。豊富な専門医資格を有する佐藤医師(自由が丘クリニック)にフェイスリフト手術について解説していただきます。
「自分はどうなりたいのか」がアンチエイジング治療を始める第一歩
Q.様々なアンチエイジング治療があります。どのように施術を選択すればよいのでしょうか。
もっとも大切なことは「本人が何を望むか」です。最近はオペ以外にも、美容専用の糸を用いたスレッドリフトや、ヒアルロン酸・ボトックス等の注入療法、サーマクール・ウルセラリフトなどに代表される医療機器を使った照射系の治療など様々なメニューがあります。
これらの中から何を選ぶべきかというのは、結局のところ患者さんの希望次第なんです。例えば、3年とか5年ほど昔の姿に戻りたいといった希望の場合には、スレッドリフトやマシンでもいいかもしれませんが、10年前に戻りたいとなればやはり手術以外の方法では難しいでしょう。ただ、トータルで若返りを目指す場合には、単純に施術でたるみを引き上げればいいというものではありません。フェイスリフト施術だけでは改善できない部分の皺にはヒアルロン酸やボトックスなどの注入が必要ですし、若々しい肌の質感を取り戻すためにはレーザー治療などが効果的になります。
まずは幅広い治療メニューを提案できるクリニックで医師に希望を伝え、その上で最適な治療方法が何なのかをよく相談するところから始めてみてください。
その際に気をつけて欲しいのは、「手術が出来ない」とか「機器が無い」など、選択肢が限られてしまうクリニックへの相談は避けた方がいいということです。そういったクリニックでは、「患者さんにとって最適か」よりも、「自分のクリニック・自分の技術で出来るかどうか」ということで治療内容が制限される可能性がります。知識、技術、機器が豊富に揃ったクリニックにぜひご相談ください。
崩れた土台から切り離して植え替える!これが最新のフェイスリフト術
Q.フェイスリフト施術について詳しく教えていただけますでしょうか
顔のたるみというのは「皮膚」「脂肪」「筋肉」などが垂れ下がることによって起きます。
そういった症状を改善するのがフェイスリフト施術になりますが、その施術方法にはさまざまな種類があります。もっとも古い方法は、単純に皮膚を切除し引っ張り上げて縫い合わせる方法。次に、1970年代頃から主流になったSMAS法(スマス法、スマス弁法)。そして、近年、高いリフトアップ効果と持続性で評価されているリガメント法です。
今回は、現在でも主に行われているSMAS法とリガメント法について少し解説しますね。
SMAS法とは、SMAS(Superficial Muscular Aponeurotic Systemの略)といわれる筋膜と、Platysma(プラティスマ)といわれる広頚筋(こうけいきん)を引き上げるフェイスリフト術になります。それまでの、皮膚だけを引っ張り上げるフェイスリフト術よりも効果が高く安全性に優れているため、その後のスタンダードになりました。特に顎から首など、下顔面のたるみ解消効果が高いフェイスリフト術です。しかし、SMAS法は持続期間に課題がありました。その課題を解決したのがリガメント法だと言えます。

リガメント法は、SMAS法以上に根本的な原因解決につながるフェイスリフト術だと言えます。少し難しい話になりますので、医療専門用語ではなくイメージしやすい言葉で説明させていただきますね。
顔の骨と皮膚の間には木の幹のように靭帯が伸びていて、それが皮膚に貼りついて支えています。しかし、加齢によって幹の土台そのものが弱くなり崩れてきてしまいます。すると、幹が傾き皮膚が下がりたるんでしまいます。これが顔のたるみの原因です。
リガメント法では、弱くなったり崩れてしまった土台から木の幹を切り離し、まだしっかりとしている別の土台に植え付け直します。これによって、幹は再び皮膚をしっかりと支えることが可能となり、たるみが解消されるという仕組みです。かなり簡略化した説明なので、詳細について知りたい方は当院のホームページなどもご確認ください。
施術には目的がある。一人ひとりにある背景と文脈を理解することで正しい医療を選択し提供する。
Q.クリニックを選ぶ際のポイントを教えてください
いくつか選択のポイントがあると思いますが、最終的には医師との相性だと思います。相性というのは言い方を変えると、向かう方向性が一緒かどうかです。
カウンセリングを通じて、自分が目指したい方向と、医師が目指そうとしている方向がしっかりと一致しているのかを確認してください。向かう方向性が合わない場合、仮に医療的に成功した施術だとしても、仕上がりのデザインや変化の大きさ(小ささ)に対して失敗だと感じる可能性が高いです。「方向性」や「相性」というと、とても感覚的な言葉に聞こえてしまうかもしれませんが、このあたりをしっかりと見極めることは大切だと思います。
なお、方向性を合わせる作業においては、必ずしも「患者さんの考えに合わせる医師」がいいという事ではありません。と言うのは、患者さんが見ている方向性が必ずしも正しいとは限らないからです。悩みの原因が実は違うところにあったり、良いと思っている施術方法が適切ではないという事もあります。こういった場合には、専門家だからこそ医師がしっかりとアドバイスし、正しい方向性を提案するべきです。
あとは、患者さんの施術の目的にしっかりと耳を傾けるかどうかですね。施術を希望する一人ひとりに、その背景や文脈があります。それをきちんと理解し、適切な施術を選択し提供するには高い技術とセンス、経験が求められます。こういった点も医師選択の一つの基準になるかもしれませんね。
早めのメンテナンスが最も効果的!まずは気軽に相談から
Q.最後に、アンチエイジング治療をお考えの方へメッセージをお願いします
「老けたくない」と思う方は早めに施術を検討してください。早い段階でしっかりと基礎を作る施術をしておくことで、その後の老け方に大きな違いが出ます。最近は30代、40代の方の施術も決して珍しくありませんし、とても効果的な予防治療だと思います。
また、既に「老け始めたかな」と感じている方も早めにメンテナンスを開始してください。先延ばしするほどに症状は悪化しますし、治療が大掛かりになります。早めの治療・メンテナンスが長期的には最も負担が少なく効果的な治療になります。
具体的な施術の方法が決まっていない方や、漠然とした悩みをお持ちの方でもお気軽に当院にご相談ください。まずはしっかりとお話を聞かせていただきます。一緒に最善のアンチエイジング治療を行っていきましょう!
自由が丘クリニック
20年以上の歴史を誇る日本有数の美容外科クリニック。医大教授を務める医師のほか、美容外科・形成外科・美容皮膚科の専門医が多数在籍。一流の医師たちによるチーム医療が特徴です。ビューティーアワード2015受賞クリニック。
佐藤英明 医師
1990年 北里大学医学部卒業
1991年 北里大学形成外科入局
日比谷病院形成外科
横浜市民病院外科
北里大学病院麻酔科・救命救急センターなどで研修
1995年 横浜南共済病院形成外科
1996年 佐久総合病院形成外科
1997年 いちだクリニック 美容外科
1999年 日本形成外科学会専門医取得
2001年 北里研究所病院 美容医学センター医長
2002年 自由が丘クリニック 美容外科・形成外科
2007年 北里研究所病院 形成外科・美容外科部長
美容医学センター長