矢本英之医師(ヘアケアクリニック)
この記事では、年間症例3万件を超えるヘアケアクリニックの統括院長「矢本英之医師」へのインタビューをもとに、下記6つの内容について紹介していきます。
・薄毛の原因について
・薄毛の治療について(種類、効果、費用など)
・薄毛予防について
・治療のリスクや副作用について
・治療における効果の持続性について
・医師の選び方や信頼性について
薄毛治療、薄毛対策について関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
薄毛の原因について
― 薄毛の原因にはどのようなものがありますか?
遺伝的な要素と環境的な要素があります。遺伝的な要素というのは、一応教科書的には母方系統の遺伝子に乗っ取って髪の減りやすい、増えやすいという特徴が出やすいと言われています。ですが、※隔世遺伝とか色々な説もあって正直わからない要素もあります。とはいえ遺伝的な背景は必ずありそうです。
環境的な要因としては生活習慣ですね。特に喫煙とか、食生活、飲酒、運動習慣、睡眠が短い長いとか。あとはストレス要因ですかね。その辺りは無視できないかなと思われます。
※隔世遺伝・・・祖父母やそれ以前の世代で現れていた特徴が父母には現れず、子どもに現れる遺伝のこと。
参考:https://genetics.qlife.jp/glossary/%E9%9A%94%E4%B8%96%E9%81%BA%E4%BC%9D
― 遺伝的な要因と環境的な要因、どちらが薄毛に影響を与えることが多いですか?
難しいですね。もし遺伝の要素が大きいとしてしまうと、治療するにあたって遺伝子って変えられないものでして、少し難しいかなという側面はあります。
「あなたは遺伝要素が強いから治療が難しいです」という言い方をしたことは過去一回もないですし、必ずどちらもあるとは思いますので、どんな人も治療対象になりえるかなと思います。
薄毛治療について
― 薄毛治療にはどのような種類がありますか?
主に内服による治療や外用薬による治療、他にもアートメイクや植毛といった治療があります。
外用薬というのは薬を塗ったり針を使って薬を注入したりする治療です。あとは少し根本的な治療と言えるかもしれないですが、先ほどの生活習慣を正すとかストレス要因を改善するような指導による治療もあります。ここ数年で流行ってきているのはアートメイクですかね。刺青とは少し違うのですが、イメージで言えば医療用の刺青を使って薄いところをわかりにくくするような治療になります。
― アートメイクとはヘアタトゥーということでしょうか
そうですね。ヘアタトゥーとほぼ同義でいいのかなと思います。
― 男性もやられるんですか
むしろ男性の方が当院では多いですね。
― 各治療法の効果や費用、メリット・デメリットについて教えてください
まず国内だと主流と言える内服薬に関してですが、メリットとしては比較的高確率で発毛実感が得られるという点と、一日一回程度の内服をするだけなので続けやすい点、あとは医療機関とか薬の入手先にもよりますが、費用が他の治療よりも安いこともありますのでコストパフォーマンスも良いかなと思います。デメリットとしては個体差がかなりあるんですけど、浮腫みとか体毛、すね毛とか腕毛とか必要ない毛も増えてしまうということが挙げられますね。
外用薬のメリットとしては塗り薬や注射は体毛が増えない・浮腫みがほとんど出ない・そのような内服薬によるデメリットがないという点があります。女性は極めて多くの方が体毛を嫌ったり、浮腫みやすい体質の方が多いので外用薬だけをやるという方もいらっしゃいます。
デメリットは、内服薬に比べると髪が生えにくかったり効果を実感しにくいケースが多かったり、医療機関によっては高額になることもあるのでコストパフォーマンスという点でも良くはないかなと思います。
生活習慣系はデメリットはないですね。完全にやった方がいいですしコストもかからない。完全に髪の毛以外のことに対してもプラスですからやるべきですね。
アートメイクは問い合わせも多いです。メリットはやった直後から見た目に変化を与えることができます。
デメリットは3年ほどで皮膚の表面の細胞のターンオーバーによって色が薄れるので、永久的な効果はない、ということかなと思います。
植毛はある種薄毛治療の最終形態と言えます。自家植毛であれば自分の毛を取ってきて植えるのですが、理論上は半永久的、あるいはその植える毛の寿命までは毛が残るので、一番納得のいく形で永く好きなところに植えられる、増やせるのがメリットです。
デメリットは日本国内では料金が高く、施術を受けられる施設が限られてきます。
トルコをはじめ海外の方が植毛は盛んで、料金も手頃で進んでいる印象があります。
― 治療の選択についてですが、患者さんが希望されますか?それとも先生から提案されますか?
多くは患者さんが希望されます。インターネットで調べて来られる時代ですので、かなり正確な知識を殆どの方が持ってきていらっしゃるのと、当院は料金もわかりやすい設定ではあるので、来院される時点で治療を決めている方が殆どです。
なので新しく「この治療どうですか」みたいにあえて治療を提案することはあまり多くないですね。
― 個人差があるとは思いますが、薄毛治療は一般的にどのくらいの期間が必要なのでしょうか?
数年前のデータに基づくと、当院で治療を続ける期間の平均は約2年半でした。ただし、それ以上の期間治療を続ける方もいれば、半年から9ヶ月程度で満足される方もいます。
また、中には効果実感が得られず治療を中断される方もいます。治療の期間は個人の状況や目標によって異なりますね。
― 薄毛治療の費用は、どのくらいの範囲で変動するのでしょうか?
費用がかからない順で説明すると、まず生活習慣の改善は基本的には料金はいただきません。喫煙指導をしたりとか、お酒を減らすようにしたりとか、アドバイスをします。
医療用のシャンプー等は3,000円〜5,000円程度のものが多くあります。
当院はあまり取り扱いをしてませんが、塗り薬のお薬も世の中にはたくさんありまして、安いものだと3,000円〜2万円くらいです。
内服薬は1ヶ月あたり18,000円程度です。
注射による治療は21,000円くらいです。
アートメイクは施術する面積によりますが、多くの方が施術する10センチ×10センチの面積の料金だと10万円くらいの費用でできます。
植毛に関しては取る毛の本数により、一般相場的には 100〜400万円くらいです。
薄毛予防について
― 薄毛予防について、具体的にどのようなことが効果的でしょうか?
まず医学的な裏付けがある程度あるもの、あるいは経験的にも言えるインパクトとして大きいものは、喫煙ですね。タバコは髪に対するマイナス要素がとても大きい。ヘビースモーカーだった方が髪の治髪を機にタバコをやめて、すごく良くなったっていう症例は過去何人もいます。
次にストレスも無視できないですね。これまで治療経過が良かったのに、仕事が忙しくなり寝れていないとか、ストレスが溜まって円形脱毛症を起こしてしまうケースも少なくありません。
最後に食生活。若い男性に多いのが、炭水化物中心の食事をする方。ご飯だけとかカップラーメンだけとかだと髪の調子が悪くなりやすいです。タンパク質の摂取が少ないと髪の細さとかコシの無さとかに出る方もいます。
― 薄毛予防において、男性と女性で違いがあるのでしょうか?
予防に関しては、基本的にはないかなと思います。ただ、女性の場合は出産後に抜け毛が増えてしまうケースがあります。例えば1人目の出産で髪がすごい抜けてしまった経験のある方が、2人目の出産を控えている状態の時に相談に来られることもありますね。
治療のリスクや副作用について
― 薄毛治療にはリスクや副作用があると聞いたことがありますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
そうですね。一番多いのはやはり飲み薬による副作用で、むくみ・体毛、あとは動悸など。動悸というのは胸がドキドキすることを指すんですけど、なんかちょっと息苦しい感じを感じられる方もいらっしゃいます。このような副作用の多くは内服を始めて2ヶ月以内ぐらいに出現することが経験的には多いかなと思います。
アレルギーに関しては、実は内服に関してアレルギーを疑う症例は過去1人も経験したことはないので、理論上はありえるかなと思いますが、頻度は高くないような印象はあります。
あとは内服薬に関しては最低限の肝臓や腎臓への負担というものがありますので、例えば肝機能や腎機能が元々悪い方は少し注意が必要です。あとは注射による治療ですと、あまりないですけど針を刺しした ところが多少感染して、感染が小さい範囲で起きたりとか、針を刺したころから出血をして血の痣ができてしまったりとか、針穴が痛いとかその程度はございますね。
― 副作用が発生した場合、どのように対処することができるのでしょうか?
緊急性が高いトラブルが想定されるのはアレルギーぐらいですね。それは今のところ経験はないので頻度は多くないです。むくみや動機、息苦しい感じなどは比較的想定されます。
治療を始めて最初の2ヶ月ぐらいはそういうことは起き得るので、日常生活、仕事に差し支えない程度であれば経過観察していただくことも強くおすすめしています。
ただ、ある程度の高齢の方や例えば心臓に持病があって内科に通院されている方は、状況によってはそちらの主治医に相談するようにも伝えています。
体毛が増えてしまうことに関してはレーザー脱毛が非常に有効ですので、気になる場合は当院も脱毛の設備がありますので、そちらで脱毛の処置を提案させていただくことはあります。
注射に関しては正直あまりないですね。「様子見してください」ということが多いです。
治療における効果の持続性について
― 薄毛治療の効果は、一般的にどのくらいの期間持続するのでしょうか?
患者さんから同じように「治療はいつやめられますか」という質問を受けることもあるんですけど、前提として飲み薬であれば内服によって生えた毛が半永久的に生え続けてるわけではないです。
例えば「飲んで3ヶ月間は髪があります」みたいな基準はあまりないので「効果が持続する」という考え方はないんですけど、継続的に必要量を飲んで内服を続ける状態であればそれに応じた状態が保ちやすい、という少し抽象的な言い方になります。
毎日お薬を飲んでても別の何かしらのマイナス要因が出てきて髪の状態が悪くなるということもあるので、飲んでいれば大丈夫というわけでもないですし、飲まないと悪くなるわけでもないです。
例えば1日1 粒飲んでいる方が1年間治療を続けた場合、その1年後には2日に1回に内服を減らすとか3日に1回に減らすっていうようなケースも多々あります。
植毛に関しては施術からだいたい1年後ぐらいに結果を見ています。1年後ぐらいに定着している状態というのはその毛の寿命によるんですけど、年単位で状態がキープできたりはします。なので1回の施術で比較的完成する ケースも多いですし、満足な結果ではなかった方は何回か施術をすることもあります。
― それぞれの治療の割合はどのような形になりますか
割合は難しいですね。併用されてる方もいるんですけど、例えば100人新規の患者様が来たとして 内服を選択される方は90人ぐらいです。 注射だけという方は10人もいないです。
その90人のうち4割強ぐらいは注射の治療を併用されます。
アートメイクをされる方はいきなりする方はあまりいらっしゃらないです。100人来られた方のうち治療を1年間続ける方が90人以上はいるとして、そのうちその仕上がりに「ここだけ欲しい」みたいなピンポイントで気になる箇所を相談いただいた方が、アートメイクに行くというイメージです。そのため割合としてはまあ全体の1〜5%もいないほどで、数は多くないかと思います。
医師の選び方や信頼性について
― どのような資格や経験を持つ医師が、薄毛治療において信頼できると思いますか?
資格の有無は全く関係がないので医師免許さえ持っていれば全然いいです。
「毛髪診断士」などいろいろあるんですけど、別にそれの有無が良い先生かどうかの基準になるとは思わないので、資格は気にしなくていいかなと思います。
一方で経験してきた患者様の数はやはり大事で、何人見たからいいとかはなかなか言いにくいのですが、最低でも1,000人は見てきてる先生だといいと思います。
しかし症例人数は情報として探しにくいと思うので難しいかもしれませんね。
あとは、私が当院を作った当時よりはだいぶ世の中にAGA治療を行うクリニックが増えてきたので、価格帯も似た感じにはなってきているのですが、いまだに非常に価格が高いクリニックも多いです。
ですが「高いから良い」とか「高いから生える」っていうような感覚は明確に捨てた方がいいかなと思います。
もしある程度調べる能力のある患者様であれば、行う治療とか使用する薬とかをクリニックに問い合わせてみて、答えてくれない、教えてくれないようなところには行く必要はないです。
隠す情報ではないですからね。特許がどうとかそういうものではないので、やっぱり良い医療っていうのは独占されるようなものではなくて、普遍的に存在する医療であるべきなので。
また、医者ではない人間が治療方針を聞いたり治療プランを練ってくれるところもあるんですけど、いわゆるカウンセラーと名乗る方と1時間とか2時間とか面談をする感じで話をして、そこで治療プランが決まってしまうケースもありますね。
基本的に治療方針を決めるのは医師であるべきかなと個人的には思いますので、医師ではない方が最終決定やアドバイスをするようなところは少し商業的な感じがするかなと思います。ダメって言ってるわけじゃないですけど。
ヘアケアクリニックについて
― 治療において重視していることは何ですか?
意外とシンプルですけど、基本的にAGA治療っていうのは1回で終わりではないので何回も顔を合わせて、複数年のお付き合いになります。そのため、患者様の人となりとかバックグラウンド、お仕事とか家庭のこととかそんなに深く突っ込むことはないんですけど、ある程度ヒアリングをします。
例えば夏休みに旅行へ行く話を聞いたら、それがどうなったか聞いてみるとか。
意外とお仕事のことも軽く把握しておくだけでも、ストレスが発生した時に話を聞くこともできますし、直接医学的な話ではないような点でコミュニケーションを取るということは昔から大事にしていますね 。
― オンライン診察と対面診察を比較すると、それぞれどのような良さ悪さがありますか?
オンライン診察の良い点は、患者様が現地に足を運ぶ必要がないので日本中どこにいらっしゃっても診察を受けることができます。
アメリカに住んでいるお客さんがいて、毎月連絡をいただくわけではないんですけど、 半年に1回とか連絡をもらう方もいらっしゃいますね。
引っ越した際でもお付き合いを続けることができるという点もメリットに挙げられます。
コロナをきっかけにオンライン診察の規制が非常に緩和されましたね。
以前は医者の診察は「直接会って、触って・見て・感じて」みたいなのが基本でしたけど、非常にやりやすい時代になってきましたね。
ヘアケアクリニック
当院は医療レーザー脱毛(美容レーザー治療)および薄毛・抜け毛(AGAおよびFAGA)、円形脱毛症を専門にしております。
日々、ヘアトラブルやスキントラブルに関するお問い合わせを頂いておりますが、特に費用面や治療効果、高額医療費(医療ローン)にへの不安やトラブルといった内容が目立ちます。
当院は費用面や治療内容などを明確化し、通いやすさ・続けやすさを徹底しております。
また年間症例3万人を超える当院には優秀な医師・看護師・スタッフが常駐しておりますので、是非ともお気軽にご相談ください。
【診療時間】
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土曜日 10:00 ~ 18:00
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土曜日 10:00 ~ 18:00
統括院長 矢本英之医師