阿部 洋太郎(5DENTAL東京銀座)|健康な歯を守る削らないラミネートの選択
東京都内で審美歯科を専門に手がける5Dental東京銀座の院長である阿部先生は、いち早く“削らないラミネートベニア”という新しい技術に注目し、患者の身体的負担を最小限に抑える治療に取り組んできました。
今回のインタビューでは、同院の診療哲学や施術の特徴、そして「どんな人に向いている治療なのか」まで、審美治療を検討している方にとって役立つ情報を、じっくりとお伺いしました。
編集部
本日はお時間をいただいてありがとうございます。
編集部の菅原と申します。
宜しくお願いします。
阿部先生
阿部です。
本日はよろしくお願いします。
歯科医師を目指した原点─“技術職”としてのやりがいに惹かれて
編集部
では、まず、歯科医師を目指されたきっかけと、これまでのご経歴について教えてください。
阿部先生
もともと、高い技術を身につけたいという思いはあったのですが、歯科医師になろうと本格的に考えるようになったのは、大学に入ってからです。
当時は大学のすぐ近くに住んでいたので、授業以外の時間も有効に使える環境でした。だからこそ、座学だけでなく、もっと実践的なことを学びたいという気持ちが強くなり、自分から積極的に行動するようになりました。
教え上手な先輩に声をかけて研究を見せてもらったり、実際に腕の良いと評判の先生のもとでアルバイトをさせてもらったり、学外でも多くの経験を積ませてもらいました。
こうした環境と出会いのおかげで、技術職としての面白さや奥深さにどんどん惹かれていって、自然とこの道に進んでいったという感じですね。
編集部
なるほど、大学での学びや環境が歯科医師としての進路に大きく影響したのですね。
一般診療から、自由診療や審美歯科の道に進まれた背景についても教えてください。
阿部先生
僕は学生時代から、課題や実習と並行して歯科医院でバイトをしていたんですが、その現場経験が本当に大きかったですね。矯正やインプラント、審美など、いろんな診療分野に触れる機会があって。卒業時には、すでに臨床経験が2年近くありました。
早い段階で多くの分野に関わったことで、「自分にはどんな診療が向いているか」を実感ベースで考える材料が得られたのは大きかったです。外科やインプラントのような派手な治療にも興味はありましたが、実際に患者さんと向き合う中で、自分はもっと日常的な診療の中で、高度な自由診療を深めていくスタイルが合っていると感じるようになっていきました。
その中で、審美治療が特に患者さんからの評価が高く徐々に専門性を高めていった、という流れですね。
編集部
審美歯科を専門にされるようになってから、患者層や来院傾向に変化はありましたか?
阿部先生
はい、特に大きな変化を感じたのはコロナ前後の時期です。コロナ前は特に患者数が多く、地方からの来院がすごく多かったです。金沢や大阪、九州など、全国各地から来ていただいていました。
編集部
すごいですね!遠方の患者さんはどのようにクリニックを知られるのでしょうか?
阿部先生
当時はInstagramの影響が大きかったですね。ホームページよりも地域に縛られずに届くので、「地元にはないけど東京なら受けられる」と見つけて来てくれる方が多かったです。まだ“削らない審美治療”に取り組んでいる医院が少なかった頃で、「こういう治療を探していた」と言ってくださる方が多かったです。
編集部
地方からわざわざ来院して治療を受けに来てもらえるのは嬉しいですね。
阿部先生
そうですね。さらにその口コミが広がり紹介で来ていただけるケースも多いです。例えば北海道の患者さんが知人を紹介してくださることもありました。
健康な歯を守りながら、美しさを引き出す─クリニックのコンセプトと大切にしている“進化した審美歯科”
編集部
では、クリニックの特徴やコンセプトについて教えてください。
阿部先生
当院は「できるだけ歯を削らず、身体に負担の少ない審美歯科治療」をコンセプトにしています。
審美歯科と聞くと「見た目の美しさ」にフォーカスされがちですが、僕らが目指しているのは“美しさと健康の両立”です。
昔ながらのセラミック治療では、健康な歯を削ることが前提でした。でも今は技術と材料の進歩によって、削らずに見た目を整えることもできるようになってきています。
僕たちは、そうした技術をいち早く取り入れ、専門性を磨いてきました。
審美治療って、患者さんにとっては「人生で一度の大きな決断」になることも多い。だからこそ、丁寧なカウンセリングや治療プロセスを大事にしています。
編集部
なるほど。他に日々の診療で、先生が大切にされていることや、こだわっている点はありますか?
阿部先生
よく「患者さんに寄り添う」といいますが、僕はそれだけでは足りないと思っています。
患者さんは多くの場合、専門的なことは知らないまま、なんとなく情報を集めて不安や希望を持って来院されます。
そのときに「言われた通りに治療する」のではなく、「本当はこうしたほうがもっと良くなる」というプロの視点での提案を必ず伝えるようにしています。
最初に患者さんが想像していた治療と異なる場合もありますが、ちゃんと説明すれば、ほとんどの方は納得してくださいますし、結果的に満足度も高くなります。
編集部
患者さん自身が気づいていない選択肢や可能性まで汲み取る。まさにプロの視点ですね。
編集部
こちらのクリニックでは「削らないラミネートベニア」が人気施術と伺っています。どのような治療でしょうか?
阿部先生
ラミネートベニアというのは、歯の表面にセラミックのシェルのような薄い素材を貼り付けて、見た目を整える審美治療です。
従来は、歯をある程度削ってからその上に被せるのが一般的でしたが、当院では削らずに行うラミネート治療を提供しています。
たとえば、小さな前歯やすきっ歯、あるいは変色している歯など、健康には問題がないけれど見た目を整えたいというケースに向いています。削らないので、歯へのダメージが少ないのが最大の特徴ですね。
編集部
歯へのダメージが少ないのは大きなメリットですね。削らないラミネートベニアというと、患者さんにとっては魅力的な選択肢に感じますが、デメリットもあるのでしょうか?
阿部先生
そうですね。患者さんから見ると「削らない=やさしい治療」と思われるかもしれませんが、実は逆で、技術的にはすごくシビアな治療です。
薄いセラミックスは強度的に弱いので、しっかり接着できていなければ割れたり外れたりしてしまうのがデメリットと言えます。特に0.3mmとか、紙のような薄さの素材を使うので、素材や貼り方次第で結果が大きく変わるんです。
編集部
薄くて繊細だからこそ、接着や素材の扱いに高度な技術が求められるんですね。
阿部先生
はい。加えて、見た目の再現性にも工夫が必要です。薄いセラミックスは厚みが取れない分、透明感や立体感を“表現でカバー”しなければいけないんです。でも、それは“本当の厚み”ではないので、技工士さんの腕にもかなり左右されます。
だからこそ、当院では接着剤の選定から、ラボとの連携、手順に至るまで、全部にこだわってるんです。時間も手間もかかるけど、それだけの価値がある治療だと思っています。
編集部
「削らないラミネートベニア」はどのような悩みを持つ方に適していますか?また、適さないケースはありますか?
阿部先生
大きく分けると、歯が健康な状態で、構造的に十分な厚みがある人ですね。逆に、歯の表面が酸で溶けていたり、噛み合わせの摩耗が激しい人、また嘔吐を繰り返す習慣がある人などは、接着の安定性が低くなる可能性があります。
それから、歯並びの問題も重要です。軽度のデコボコやスペースはベニアでカバーできますが、明らかに出っ歯だったり、歯が重なり合っているような場合は、まずは矯正治療を優先すべきです。
編集部
そうすると、患者さんごとの適応をしっかり見極めることが大事になるんですね。
阿部先生
そうですね。また、最近多いのが、矯正治療後に仕上がりに満足できず「ベニアで整えたい」と来られるケース。でも、本来なら矯正だけで解決できたはずという場面も多いので、治療計画の時点でしっかり見極めることが重要です。
対話から始まる審美治療──理想のゴールを共につくるプロセス
編集部
ここまでのお話で、ラミネートベニアがとても繊細な治療であることがよく分かりました。実際の治療の流れとしては、どれくらいの期間がかかるものなのでしょうか?
阿部先生
平均すると、初診から最終仕上げまでは約1.5〜2か月ですね。通院回数としては、5〜7回程度が多いです。もちろん、ケースによって多少前後しますが。
編集部
思っていたよりも時間がかかるんですね。それだけ丁寧にプロセスを進めているということでしょうか?
阿部先生
そうですね。まず最初は、カウンセリングと治療計画のすり合わせから始まります。僕らは毎日この治療をしているプロですが、患者さんは初めてのケースがほとんど。ですから、どんな悩みがあって、どうなりたいかをしっかりお聞きして、一緒にイメージを固めていく時間を大切にしています。
編集部
患者さんと“ゴール”を共有するための時間なんですね。
阿部先生
そうです。それがないと、途中で「思ってたのと違った」ってなってしまうリスクがあるので。
その後、必要に応じてホワイトニングや歯肉処置などの、いわゆる下地作りを行い、セラミックスの型取り、仮合わせ、調整、本接着という流れになります。
セラミックの製作には通常2週間ほどかかるので、仮合わせをして、見た目や色味を確認してもらってから本装着に進みます。その時点で「もっと白くしたい」「形を少し変えたい」といった希望が出ることもあるので、そこでもう一度ラボとやり取りをして調整することもあります。
編集部
丁寧な治療だからこそ、時間や手間はかかっても、それが最終的な満足度の高さにつながっているんですね。
編集部
施術後に、患者さんが気をつけるべき点や、メンテナンスのポイントはありますか?
阿部先生
特別なケアが必要というわけではなく、基本的には一般的な歯のメンテナンスと同じで大丈夫です。
ただ、接着剤の寿命は、素材よりも劣化が早いことがあります。接着部を長持ちさせるためにも、口腔内の清潔は非常に大切です。あとは、食いしばりや歯ぎしりのケアですね。夜間にマウスピースを使っていただくこともあります。
定期的なクリーニングとチェックが、綺麗な状態を長く保つための一番の近道です。
歯科クリニックの選び方と、これから治療を考える人へ─“納得して選ぶ”ために、まずは自分の理想を持つこと
編集部
クリニック選びに迷っている方に向けて、先生のお考えを伺えますか?
阿部先生
そうですね、まず大前提として、「自分が何を望んでいるのか」をある程度明確にしてから選ぶことが大切だと思います。
たとえば、虫歯の治療、予防ケア、子どもの歯科治療、審美目的と、それぞれ得意なクリニックは違います。広く一般診療をカバーしているところが悪いというわけではありませんが、矯正や審美など専門性が高い分野を希望する場合は、やはりその分野に強い先生を探すのが近道だと思います。
編集部
なるほど。まずは自分の希望をある程度言語化してみる、ということですね。
阿部先生
はい。もう一つは「どれだけ丁寧に治療と向き合っているか」です。症例数が多い=良いクリニック、とは限りません。ちゃんと説明してくれて、丁寧な治療を行なってくれる。そういう姿勢のあるクリニックを選んでいただけたらと思います。
そしてできれば、いくつかのクリニックを実際に回ってみるのもおすすめです。
僕自身、何件かセカンドオピニオンを受けてから来てくれた患者さんとは、話がとてもスムーズに進む印象があります。ほかの歯科医院での説明と比べて、当院の方針が明確に伝わるからこそ、安心して任せてもらえるんですよね。
編集部
自分の理想をしっかり持って、比較検討しながら選ぶことが、納得のいく治療につながるんですね。
「ここでお願いしたい」と思えるクリニックに出会えるよう、まずは一歩踏み出してみることが大切ですね。
最後に─削らない治療を考える方へメッセージ
編集部
最後に改めてクリニックの魅力と「削らないラミネートベニア」を検討している方へのメッセージをお願いします。
阿部先生
当院の強みは、「審美歯科を専門でやってる」ということですね。僕自身、もう15年以上審美歯科に関わっていて、ラミネートベニアについても、今みたいに技術が進化する前の、もっと未完成な時期から見てきています。
当時はそれでも画期的と言われていたけれど、今振り返るとまだまだ未熟だった部分も多くあります。だからこそ、技術がどこからどう進化してきたのかを知ってるっていうのは、自分にとっても武器になってますし、治療の選び方にも活かされています。
編集部
治療法の“今”だけでなく、背景や変遷も見てきたからこそ、信頼できる判断ができるんですね。
阿部先生
そうですね。それから、審美治療を受けたいと思ったときには、「健康を犠牲にするような方法」は取らないでほしいと思いますね。
たとえば、「ホワイトニングせずにセラミックスを入れた方が楽」とか、「お金をかければうまくいく」といった安易な選択肢ではなく、身体への負担が少なく、将来的にも有利な方法をしっかりと見極めていただきたいです。
矯正やホワイトニングなど、手間も時間もかかる方法が、実はより自然で、健康的な美しさにつながるケースも多くあります。
でも、そうした情報はなかなか一人では判断できませんし、知識があいまいなまま相談しても、正しい答えにはたどりつけません。
だからこそ、一つの意見だけで決めずに、複数の専門家の意見を聞くことをおすすめします。少し手間はかかるかもしれませんが、その分、自分にとって本当に納得できる、後悔のない選択ができるはずです。
「すぐに綺麗になりたい」という気持ちはもちろん理解できます。
でもその先にある“将来の健康”も見据えて、より良い治療を選んでいただけたらと思います。
編集部
本日は貴重なお話をありがとうございました。審美治療に対する考え方が大きく変わると同時に、「健康を守る」という視点がとても印象的でした。これから治療を検討される方にとっても、安心して一歩を踏み出すための大きなヒントになったのではないかと思います。
5DENTAL東京銀座
削らないラミネートベニアをはじめ、体への負担を抑えた審美歯科に早くから取り組んできた5DENTAL東京銀座。
阿部先生が提供しているのは、“未来の健康も見据えた選択肢”。目先の仕上がりだけではなく、その先を見据えた医療のあり方に、専門家としての矜持を感じました。
治療の選択肢が増える今だからこそ、「本当に自分に合った方法は何か」を考えるきっかけになるインタビューでした。
月〜金:10:00〜20:00
土:10:00~14:30
阿部 洋太郎