酒井 新介医師(東京イセアクリニック)|日本美容外科学会(JSAPS)専門医に聞く「自分に合ったクマ取り」の選び方

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鏡を見るたびに気になる、目の下のクマ。
寝ても取れないし、メイクでも隠れない。
なんとなく老けて見えたり、疲れて見えたりして、自信が持てない——そんなお悩みを抱える方は少なくありません。
今回は、そんな“クマ取り”について日本形成外科学会認定 専門医、日本美容外科学会(JSAPS)専門医である【東京イセアクリニック・酒井新介先生】にインタビューを実施。
治療の選び方から、施術ごとの違い、カウンセリングで大切にしていることまで、率直に語っていただきました。
編集部
今日は貴重なお時間をありがとうございます。
本日のインタビューを務める菅原です。
宜しくお願いします。

酒井先生
酒井です。
本日はよろしくお願いします。

酒井先生の経歴「形成外科で一人前になってから美容外科へ」


編集部
先生はもともと形成外科にいらっしゃったと伺いましたが、美容外科に転向された経緯を教えていただけますか?

酒井先生
そうですね……。
もともと形成外科をずっとやっていて、最後は「東京新宿メディカルセンター(旧・厚生年金病院)」で形成外科の部長を5年間務めていました。
で、40歳を迎えるタイミングで、「そろそろ美容外科やろうかな」と思ったんです。

中2の時に、骨切りが出来る美容外科医になりたいと思って、医師を志したんですが、形成外科で一人前になってからっていう気持ちがあって。
部長までやらせてもらったし、もう目標はある程度達成したなって。

編集部
そこから実際に美容外科の世界に入られたんですね。
酒井先生
はい。ただ、どこでやろうかと考えたときに、形成外科の専門医がやってる美容外科に入りたかったんですけど、結局枠がなくて入れなかったんですよ。

で、友人に「そういうところで勉強させてもらおうと思ってるんだけど」って相談したら、「枠ないなら大手で修行した方がいいよ」と言われて。
それで、「じゃあ大手の中だったらどこがいいかな」と考えて、最初のクリニックを選びました。

編集部
実際に最初の美容外科クリニックではどういったことをされていたんですか?

酒井先生
当時は注入系の施術や診察が多かったです。

自分としては、形成外科出身ということもあり、やはり手術に携わりたいという思いが強かったので、「今後どうしていこうかな」と迷っていた時期でもありました。
そんなとき、ある勉強会で尊敬していた美容外科の先生とお話する機会があって。

その先生に「東京にいて手術やりたいって言っても、上手い先生いっぱいいるんだから、お前が勝てるわけないでしょ。地方に行け」って言われました。
それで「地方ならもっとできるようになるかもな」と思って、次のクリニックを選んだんです。

編集部
次のクリニックではどのような経験をされたんでしょうか?

酒井先生
そこは地方に院がたくさんあるので、毎月のように異動があって。
今月は水戸、来月は静岡、という感じで、いろんな地域で勤務しました。

幅広いエリアで多くの患者さんと接することができたのは貴重な経験でしたが、一方で、一つの院に長くいられない分、自分の症例をじっくり積み重ねていくことが難しいと感じるようにもなって。

1年ほど続けてみた結果、より手術の経験が積める環境に移りたいと考えるようになりました。

編集部
その後、イセアクリニックに?

酒井先生
実は、イセアも受けたんですけど、落ちたんです(笑)。

ただ、その時の面談で「今後銀座やセルリアンタワーを統合して大きくしていく」っていう話を聞いて、「なんかすごく良さそうなところだな」と印象に残ってました。

編集部
最初は不合格だったんですね……!

酒井先生
そうなんですよ。
でも、やっぱり「ここに行けないならもういいかな」って思うぐらい、イセアが一番良かったので、それなら今いるところでもう少し頑張ってみよう、と気持ちを切り替えました。

ちょうどその頃、地方の分院で院長が辞めることになって、急遽僕が院長をやることになったんです。

編集部
院長になると状況は変わりましたか?

酒井先生
大きく変わりました。
地方の患者さんって「院長にやってもらいたい」という意識が強いんです。

そこに加えてコロナ禍で韓国などの美容整形ツアーがストップし、国内の美容外科に患者が集中する“コロナバブル”のような状況になったのも追い風でしたね。

インスタに症例を載せたら、中国人の方が鼻の手術を希望されて、それがきっかけで知人紹介の患者さんが一気に増えました。
「モニターでやってくれたら友達を紹介する」といった流れで、手術の経験が一気に積めて。

編集部
すごい展開ですね…!美容外科医としての道が一気に開けた感じでしょうか。

酒井先生
はい。すごく楽しかったです笑

ただ僕は骨切りがやりたかったんです。
友人の親で東京歯科大学の准教授だった方の症例を見て、「これはすごい」と思ったのがきっかけで、形成外科に進んだくらいです。
大学病院時代に小児の骨系は少しやっていましたが、もっと深くやりたい気持ちがありました。
学会で骨切りをやっている他の先生の発表を聞いたりして、「やっぱり自分もやりたい」という気持ちが強くなったんです。

それで、「そういえばイセアで骨切りやってるって言ってたな」と思い出して、ダメ元でまた連絡してみたら、「一度会いましょう」となって。
そこから現在に至る、という感じですね。

人気施術はクマ取り、「YouTube」経由の患者さんが急増?


編集部
現在イセアでは、特にどういったお悩みで来院される患者さんが多いのでしょうか?

酒井先生
クマの相談が一番多いですね。
僕は、YouTubeもやってるんですけど、いろんな施術について話してる中でやっぱり反響も大きい。

あと、目の上のたるみの相談も結構あります。眉下の施術について喋っている動画が、結構伸びていてそれを見ていらっしゃる方が多い印象です。
まあそれでも一番はクマですかね。

編集部
クマで相談される患者さんは、具体的にはどのようなお悩みを抱えて来院されるのでしょうか?

酒井先生
もうね、だいたい決まってます。
「いろんな動画を見すぎて、結局自分にはどれが合ってるのか分からないので決めてください」っていうパターンがほとんどです。

編集部
気持ちはわかります笑
やはり、YouTubeを見て来院される方が多いんですね。

酒井先生
本当にそうです。
で、年齢層でいうと40代以降の方が多い印象です。
クマを気にしはじめる年齢というのもありますが、やっぱりYouTubeって視聴者の年齢層がちょっと高めに感じます。

編集部
インスタグラムなど他の媒体経由の患者さんもいらっしゃいますか?

酒井先生
二重の施術に関しては、ほとんどインスタ経由って感じですね。
僕の代表症例で「ミックス型の二重」があるんですけど、それを見て「これにしてください」って来る方が結構多いです。

クマ取りの施術方法を詳しく解説!選ぶ基準も!


編集部
クマ取り治療に話を戻しますが、酒井先生は、どういった施術方法を提案されることが多いですか?

酒井先生
そうですね、「切らないクマ取り」
つまり、 裏から行く方法でいうと「経結膜脱脂」、「脱脂+リガメントリリース」、「裏ハムラ」の3つ。

表からの場合は普通に脂肪を取る「脱脂除皺(だっしじょすう)」だけというのはやっていなくて、
取った脂肪をリサイクル移植する「脱脂除皺+ミッドフェイスリフト」、「表ハムラ+ミッドフェイスリフト」あるいは「表ハムラ単体」の3つですね。

基本的な提案は表3パターン裏3パターンの6パターンになります。

編集部
基本的にはも脂肪を取ることで治療するんですね。
この中にはない脂肪注入によるクマ治療に関しては、どうですか?

酒井先生
一応うちの施術メニューにもあるんですけど僕の中では優先順位は高くないです。
脂肪って、仲間(周囲の脂肪細胞)がいないと定着しないと思ってて。

でもクマのへこみって、あんまり仲間いないんですよ、だから定着しにくい。
ゴルゴラインとかは効果的だと思うんですけど、目の下のへこみに入れても結局効果は薄いんじゃないかなと。

今は基本的に、リガメントリリースだけでも結構なめらかになるんですけど、取った脂肪がもったいないので、それをリサイクルして再配置するようにしています。

編集部
なるほど、分かりやすい解説ありがとうございました。
裏と表でそれぞれ3パターンの選択肢があるとのことですが、それぞれの選び方の基準について教えていただけますか?

酒井先生
裏に関しては、まず膨らみだけが目立つ人「経結膜脱脂」
で、膨らみとへこみが両方ある人は脂肪を取ると凹む可能性があるので、保険をかけて「脱脂+リガメントリリース」
さらに、最初からへこみが強い人「裏ハムラ」っていうパターンで分けています。

編集部
自分がどのタイプか、患者さん自身では判断が難しい場合も多いのではないでしょうか?

酒井先生
めちゃくちゃ多いです。

患者さんは自分が「へこんでる」とは思ってないことが多いんですよ。
だから「脱脂だけでキレイになると思ってたのに…」ってなる。
だけど実際は、それだけだと確実に凹むので、「お願いだからリガメントまではやらせて!」っていうことが多いですね。

基本的には裏ハムラだということはYouTubeでも言っているので、それを見た方だと割と抵抗なく「裏ハムラ」を選んでもらえるんです。
でも脱脂だけで済むと思って来院された方を説得するのは難しい場合もありますね。

編集部
なるほど…。
裏ハムラを選んでおくと間違いがないという感じですか?

酒井先生
確かに裏ハムラは失敗の少ない施術だと思いますし、効果も高いので、この選択肢の中なら一番良いんじゃないかな。

ただ、膨らみだけが目立つタイプの人に、裏ハムラまで必要かというと微妙なケースもあります。
脱脂だけで十分なこともあり得るので。
そこはカウンセリングでしっかり話せたらと思う部分です。

編集部
逆にこういう人は裏ハムラをおすすめするっていうケースはありますか?

酒井先生
基本的に裏ハムラが良いと思うんですが、特に勧める人は「最初から凹みが強い人」、「ほっぺたが張ってる人」、「高齢者などシワが多い人」「眼窩の位置が低い人」です。

脂肪を取ると凹みが目立ったり、皮膚がたるんだりするリスクが高い人は裏ハムラを強くおすすめします。

編集部
一方で、表からの施術はどういった基準になりますか?

酒井先生
表の場合は、ほっぺが落ちてない人「表ハムラ単体」
ほっぺがへこんでる人とか、ゴルゴラインが目立つ人には、「表ハムラ+ミッドフェイスリフト」
頬ごと引き上げるのがマストって感じです。

だから45歳以上で目袋の脂肪が少なくて、皮膚のたるみが多い人や、小ジワが強い人は、表側からの手術が必須になるし、リスクもあるので、僕は基本的に「脱脂のみはやりません」と言うようにしています。

編集部
先生の肌感としてはどの選択肢が多いですか?

酒井先生
やっぱり表ハムラと裏ハムラが多いですね。
それで基本的に表ハムラはミッドフェイスリフトと一緒にやっています。

編集部
なるほど。
SNSの反応などを見ていると裏ハムラを希望する方が最近増えてきた印象があるのですが、その背景というのは何があるのでしょうか?

酒井先生
話すと色々専門的になってしまうんですけど簡単にまとめると、施術の方法が洗練されてきたからですね。

従来の骨膜上にポケットを作って、そこに脂肪を入れるだけの施術だと上手く仕上げることが難しかったんです。
骨膜上は、神経の走行が分かりにくいし、縫い付けるのも一苦労ですし。

だから今は上唇挙筋という筋肉の上にスペースを作り、脂肪を入れるようにしています。
ここは筋肉があるので縫い代も確保でき、固定がしっかりできます。
去年僕が学会で発表したのもこの施術法ですね。

編集部
裏ハムラの施術が進歩した結果、仕上がりも良くなって流行するようになったんですね!

他にも裏ハムラをする上で先生が技術的に重要だと思うポイントはありますか?

酒井先生
なによりもリガメントの処置をきちんとすることだと思います。

症例写真を見ていても、それがきちんと出来ている先生は、脂肪が少ない症例でも仕上がりが綺麗です。
逆に処置が甘い医師の場合は脂肪が少ないと仕上がりが安定しない傾向にあります。

あとは、技術的かというと微妙ですけど全部載せみたいな施術をしないことですかね。
裏ハムラもやって脂肪注入もやってミッドフェイスリフトもやりましょうみたいになると、どの施術が効果的だったのかどうか判断できませんから。

クマ取りのダウンタイム、過ごし方の注意点とは


編集部
これ、結構気になっている方も多い質問だと思います。 ダウンタイムについて、それぞれの施術でどれくらいを想定すればよいのでしょうか?

酒井先生
裏の場合は、僕の場合、プルアウト固定といって外側に糸を出して固定するんですが、基本的にその抜糸が施術の1週間後です。
抜糸までの期間は、腫れや内出血があります。
見た目が落ち着くまで大体2週間、違和感が完全になくなるには2〜3ヶ月くらいは見てほしいですね。

表の場合はもっと長いです。
少し高めの位置で固定するので手術直後はツリ目っぽくなります。
抜糸してから2週間程度かけて元に戻る感じですかね。
さらに筋肉を切ってるので、それが違和感がなく動くようになるまでにも3ヶ月くらいかかります。

あとは表も裏もテープで3日間程度固定してもらってます。

編集部
日常生活での注意点や自分でできるケアはありますか?

酒井先生
結論から言えばほっとくしか無いと思います。

逆にしないで欲しいことは、マッサージですね。
絶対にやらないでください。

あと気をつけることは、表のときは目をつぶる筋肉を切ってるから、急に目を閉じられないんですよ。 だから一時的に目に水が入りやすかったりします。

編集部
コンタクトレンズはいつから着用できますか?

酒井先生
表はいつからでも大丈夫です。
裏の場合は結膜の傷が塞がるまで、だいたい10日くらい待った方がいいですね。
目安としては目やにが出なくなるまでです。

クマ取りの失敗例とは


編集部
どの施術にもリスクはあると思うのですが、クマ取りでありがちな失敗例についても教えてください。

酒井先生
1番多いのは「脂肪の取りすぎ」です。
見た目はキレイでも、下を向いたときにへこみが目立つってことがあるんですよね。
しかも取りすぎると色素沈着が強くなる傾向もある。

編集部
色素沈着が出てしまったらレーザーで消すしか無いんですか?

酒井先生
いやまずはアイクリームによる治療で良いんじゃないかな。
脂肪を取ることで膨らんでいた皮膚が縮み、その時に色素が凝縮されて黒ずみが強く出るというメカニズムだと思うんで。

あとは逆に「取り残し」もあります。内側と外側が取り残されやすいので、そこが残ってしまうというのが脱脂の場合の失敗で挙げられます。

小じわが残っていたり、外反していたりとか、見た目が上手く行っていないというのも、良くあるケースですね。
それから、脂肪注入系のトラブルで、しこりなどになることも多いです。

編集部
イセアクリニックでは他院で失敗した場合の修正は受け付けているんですか?

酒井先生
もちろん受け付けています。
ただ、修正手術は最低でも半年は空けてくださいって伝えてます。
傷が完成してないうちに何度も切るのはリスクが高いので。

JSASPS専門医から見た医師選びのポイント


編集部
患者さんにとって、医師選びはとても重要なポイントだと思います。

美容医療相談室ではJSAPS(日本美容外科学会)の専門医資格を取得していることを1つの基準としていますが、酒井先生の考える医師選びのポイントはありますか?

酒井先生
難しいけど、形成外科専門医を持っていて、かつ美容外科を3年以上続けている人で、かつ症例写真が綺麗なところが、ひとつの基準かなと思います。

JSPAS(日本美容外科学会専門医)を持ってる人はもちろん一定の経験値は約束されるし、あるに越したことはないけど、それがすべてではない。
形成外科の専門医でも手術がうまいとは限らないから。

結局、症例数こなしてる人がいいと思います。やればやるだけ上手くなることは事実なので。
あとは症例写真が綺麗かどうか。それはすごく重要ですね。

編集部
やはり現場の先生の意見って説得力が違いますね……。

施術を受ける際は医師選びと同じくらいカウンセリングも重要だと思うのですが、酒井先生が患者さんとのカウンセリングで大切にされていることを教えてください。

酒井先生
基本は「患者さんの希望をちゃんと聞く」ってことですね。
例えば、「絶対に表からは切りたくない」って人だったら、もう裏でやるしかない。だから、「脱脂だけでいいんですか? 凹んだり、たるんだりするかもしれませんけど…」って正直に伝えます。

だから、できるだけ率直に、できるだけ現実的な選択肢を提示して、「どこまでだったら受け入れられますか?」っていう相談をします。

編集部
なるほど。「患者さんの“やりたくないこと”を先に明確にする」というお話、YouTubeでもされてましたね。

酒井先生
そうそう。
絶対やりたくないことを事前に教えてもらえると良いと思います。

「ミッドフェイスリフトをやれば理想に近づくが、ダウンタイムは長い。脱脂だけならダウンタイムは少ないが凹むリスクもある」みたいな選択肢を提示して、それでも「脱脂だけでやってください」って人もいますし、そういう方にはその中で最適なやり方を提案します。

酒井先生からクマ取りを検討している方へのメッセージ


編集部
長時間ありがとうございました。貴重なお話を伺えて私達もすごいためになりました。
最後に酒井先生が考える東京イセアクリニックの魅力と患者さんへのメッセージをお願いします

酒井先生
イセアの魅力はまずですね、1院なのにドクターの数が多いってことです。

そして、それぞれがしっかり専門性を持っていて、チームで相談し合える環境がある。
形成外科の指導医がいたり、皮膚科の専門医がいたりして、まるで大学病院の医局みたいな空気感ですね。
だから全体の技術を高めていけるんだと思います。

あと、ナースやカウンセラーの質も良いと思います。
ぼったくっても意味がないんですよ。
1回来てもらって終わりじゃなくて、また来てもらって、他の施術も任せてもらえるような関係を作りたい。
うちの全体的な方針もそうなってますし、スタッフもそれを理解してやってくれてるので、だから安心して来院して頂ければと思います。

その際はしっかりとカウンセリングして自分に合ったクマ取りを受けられるように全力でサポートします。
東京イセアクリニック
「自分が患者様だったらしてほしいことをする。」をコンセプトとする東京イセアクリニック。 患者さんに寄り添った姿勢と豊富な施術メニュー、充実したアフターケアで満足度の高い施術を提供しています。 日本形成外科学会の連携施設にも認定されており、他院の医師を指導する立場を取るなど技術力の面でも信頼できるクリニックです。
診療時間 11:00~20:00
酒井 新介医師