【医師インタビュー】わきが・多汗症の原因と治療方法って？｜大塚美容形成外科

まず、ワキガと多汗症がどんな症状かについて軽くご説明します。ワキガは、デオドラント製品では改善されない、特有の臭いが出てしまう症状です。多汗症は暑い時以外でも常に大量の汗をかく症状のことをいいます。
どちらも脇の症状ですが、このふたつは原因となる汗腺がそれぞれ違います。汗腺は、汗の出る出口となる部分で、エクリン腺とアポクリン腺があります。

エクリン腺は、毛根とは別れていて、皮膚の浅い部分にあり、全身にあります。暑いときや運動をしたときに体温調節のために汗を出すところで、成分はほとんど水のため、サラサラしておりほぼ無臭です。
多汗症は交感神経の失調によるものです。緊張や不安などストレスを感じると、アセチルコリンという神経伝達物質がエクリン汗腺を刺激して手のひら、足裏、脇、頭部などから大量の汗を発汗します。
アポクリン腺は、毛根とつながっていて皮膚深くにあります。わきの下、陰部、耳の中,肛門、乳輪などの限られた場所に存在しています。加齢とともに成長し、思春期をすぎると縮んでいくことが多いです。
ワキガはこのアポクリン腺から出る汗を常在菌が分解し、脂質、タンパク質、アンモニア、鉄分などが生成されて【ワキガ臭】のもととなるのです。

一般的にアポクリン腺が大きく、数が多いと、ワキガになる傾向にあり、遺伝を受け継いでしまうケースも多いです。症状の重さによって施術法が少し変わってきますが、アポクリン腺を取ることで臭いを抑える施術をします。

＜ボトックス注射＞

多汗症の治療に使われるのは、ボトックス注射です。ボトックスは汗の分泌を促すアセチルコリンの分泌を抑えるため、結果として汗の量が減ります。
施術は10分ほどで、半年程度効果が続きます。汗や臭いが気になる薄着になる季節だけボトックスを打つ方もたくさんいらっしゃいます。エクリン腺から出る汗がアポクリン腺を刺激してワキガ臭を発することもあるので、ボトックスによりエクリン腺から分泌されるわき汗の量が抑えられると、軽度のワキガであれば臭いが抑えられることもあります。ワキ汗ボトックス注射にかかる費用は100単位46,000円～（税別）となっています。

＜吸引法＞

この他にワキガの治療には「吸引法」と「反転剪除法（はんてんせんじょほう）」があります。
吸引法は軽度～中度のワキガの場合に用いられ、わきを5mm程度に小さく切開し、吸入器の針を差し込んでアポクリン腺を吸引する施術です。
切開の範囲が小さくて済むため、傷跡や色素沈着のリスクが低く、反転剪除法よりもダウンタイムが短いです。
しかし、穴を開けた部分に針を入れる施術なので、医師がアポクリン腺の位置を目視できず、取り残しが生じる場合があります。それでもアポクリン腺の数は確実に減るため、臭いは弱くなります。
局所麻酔を使って施術を行い、1時間ほどで終わります。ダウンタイムは2～3日ほどとなります。
傷跡は残りますが、わきのシワによって隠れる位置を切開するので目立たないです。 吸引法にかかる費用は200,000円（税抜）です。

＜反転剪除法（はんてんせんじょほう）＞

反転剪除法（切開法)は、注射や吸引では治らない重度の場合に用いられます。4cm低度わきを切開して、医師が目視しながらアポクリン腺を切開した部分から手術用ハサミで取り除きます。
臭いの根本となる汗腺自体を取り去るので、再発の可能性がほとんどなく、効果もしっかり出るとされます。
施術時間は2時間ほどで、ダウンタイムは2～3日ほどです。局所麻酔で行い、切開はわきにあるシワにそって行うので、傷口はあまり目立ちません。
まれに皮膚の血流がわるくなることによって合併症を起こす場合がありますが、手術前にそれが起きるかどうか見極められるため、もし起こり得る可能性があれば1本の切開線ではなく、2本の短めの切開線を使い、危険を回避します。
反転剪除法を受ける場合、かかる費用は300,000円（税抜）です。