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ピン除去手術とは、骨折治療や美容整形の骨切り手術で体内に挿入した金属(ピン、プレート、スクリュー、ワイヤーなど)を取り除く手術です。医学用語では「抜釘術(ばっていじゅつ)」と呼ばれ、「釘(くぎ)を抜く」という意味から来ています。
骨折治療では、折れた骨を固定するためにキルシュナーワイヤー(Kワイヤー)、チタンプレート、スクリュー、髄内釘(ネイル)などの金属インプラントを使用します。骨がくっついた後(骨癒合後)、これらの金属を除去するのがピン除去手術です。
美容整形の分野では、エラ・頬骨・オトガイ(顎)の骨切り手術後に骨を固定していたチタンプレートやスクリューを除去する手術として行われます。
1. 異物反応や金属アレルギーの予防
金属インプラントが体内に長期間留まると、まれに金属イオンが血中に放出されることがあります。チタンやステンレス鋼などのインプラントから溶出した金属イオンによるアレルギー反応を予防するために除去が検討されます。
2. 皮膚への刺激症状の解消
金属が皮膚に近い位置にある場合、「当たって痛い」「違和感がある」といった刺激症状が生じることがあります。特に手首や足首など皮下組織が薄い部位では症状が出やすく、除去により改善が期待できます。
3. 小児の成長障害の予防
小児の場合、骨端線(成長軟骨)付近に金属が残ると骨の成長を妨げる可能性があります。成長障害を防ぐため、骨がくっつく頃に抜釘術を行うことが多いです。
4. 将来の手術に備える
金属が体内にあると、MRI検査に影響を与える場合があります。また、術後5〜10年経過すると金属の上に骨ができて取り除きにくくなるため、将来の再手術に備えて早めに除去することがあります。
術前検査
手術前にレントゲンやCT撮影を行い、金属の位置と骨の状態を確認します。プレートやスクリューには製造会社ごとに型番があり、専用のドライバーが必要なため、使用されているインプラントの情報を事前に把握することが重要です。
麻酔
手術部位や範囲に応じて、局所麻酔・静脈麻酔・全身麻酔から選択されます。手指など小さな部位は局所麻酔で対応できますが、大腿骨や顔面の広範囲な抜釘では全身麻酔が選択されます。
手術時間
一般的に30〜60分程度ですが、金属が骨に埋まっている場合はドリルで骨を削り出す作業が必要になり、2〜3時間かかることもあります。
ピン除去手術には以下のようなメリットがあります。
体内の金属が皮膚に当たる痛みや、関節を動かしたときの「つっかえ感」が解消されます。特に足首や手首など動きの多い関節では、金属除去後に可動域が改善するケースも多いです。また、寒い時期に感じやすい「金属のヒンヤリ感」もなくなります。
インプラントが体内に長期間留まると、微小な摩耗や化学反応により金属イオンが溶出する可能性があります。血中のチタン、クロム、コバルトなどの濃度上昇は稀ですが、アレルギー体質の方は除去することでリスクを回避できます。
チタン製インプラントは基本的にMRI検査可能ですが、画像にアーチファクト(ノイズ)が入ることがあります。金属を除去することで、将来的に脳や心臓などの精密なMRI検査が必要になった際も鮮明な画像が得られます。
一部のインプラントは運動時に違和感を生じることがあります。特に骨の表面に近いプレートは外部からの衝撃を受けやすく、コンタクトスポーツをする方には支障となる場合があります。除去することで運動制限が解除され、アクティブな生活を取り戻せます。
金属を除去すると、一時的に骨が弱くなります。特にスクリューを抜いた穴(スクリューホール)は骨密度が低下しており、強い衝撃を受けると再骨折する可能性があります。
原因
プレートやスクリューで固定されていた期間、その部分の骨は金属に頼って荷重を支えていたため、金属除去後すぐには十分な強度がありません。また、スクリュー穴は完全に骨で埋まるまで6〜12週間程度かかります。
対策
術後1〜3ヶ月は激しい運動や重い荷物を持つことを避けてください。医師の指示に従い、徐々に負荷を上げていくことが重要です。
ピン除去手術も外科手術であるため、感染や神経損傷、出血などのリスクがあります。
感染
術後に発熱、痛み、腫れが増す場合は感染が疑われます。抗生剤の投与で対応しますが、重症化した場合は再度切開して洗浄が必要になることがあります。
神経損傷
金属周囲には瘢痕組織(コラーゲンの塊)ができていることがあり、神経と癒着している場合は損傷のリスクがあります。顔面の抜釘では知覚神経や顔面神経への注意が必要です。
対策
初回手術を行った医療機関、または抜釘術の経験が豊富な施設で受けることで、解剖学的な情報が把握でき、リスクを最小限に抑えられます。
術後5〜10年以上経過した金属は、周囲に骨ができて強く癒着している場合があります。無理に取り出そうとすると骨を大きく破壊してしまうため、抜釘を断念するケースもあります。
原因
時間経過とともにスクリューの頭部やプレートの縁に骨が覆いかぶさり、ドライバーを差し込む溝が確保できなくなることがあります。
対策
抜釘を予定している場合は、骨接合術後1〜2年以内に行うのが望ましいです。美容整形の骨切り手術では術後3ヶ月〜1年での除去が推奨されています。
ピン除去手術で使用される麻酔は、手術部位と範囲によって選択されます。
局所麻酔
手指や手首など小さな部位の鋼線抜去で使用されます。意識はありますが、手術部位の痛みは感じません。費用は約5万円程度(美容クリニックの場合)です。
静脈麻酔
点滴で鎮静剤を投与し、ウトウトした状態で手術を行います。完全に眠るわけではありませんが、手術中の記憶はほとんど残りません。費用は約10万円程度です。
全身麻酔
顔面骨や大腿骨など広範囲の抜釘、または複数部位の同時除去で使用されます。完全に眠った状態で手術を行うため、精神的な負担が少ないのが特徴です。費用は約25万円程度です。
局所麻酔の場合、スクリューを回す振動や引っ張られる感覚を感じることがありますが、痛みはありません。音が気になる方は、事前に申し出ればイヤホンで音楽を聴きながら手術を受けられる施設もあります。
全身麻酔の場合は眠っている間に手術が完了するため、術中の不快感はありません。
麻酔が切れると手術部位に痛みを感じます。痛みのピークは術後数時間〜1日目で、処方された鎮痛剤で対応します。
痛みの程度
一般的に初回の骨接合術より痛みは軽いとされますが、瘢痕組織を剥離する範囲が広い場合は同程度の痛みを感じることもあります。
痛みの持続期間
強い痛みは2〜3日で落ち着き、1〜2週間で日常生活に支障がない程度になります。
ピン除去手術のダウンタイムは部位や手術規模によって異なりますが、初回の骨接合術より短いのが一般的です。
手術当日
全身麻酔の場合は術後2〜3時間で覚醒し、病室に戻ります。麻酔の影響でふらつきがあるため、歩行には介助が必要です。局所麻酔の場合は術後数時間で帰宅可能な施設もあります。
術後1日目
傷の痛みがありますが、鎮痛剤でコントロール可能です。手術部位によっては杖や点滴台を使って歩行を開始します。下肢の手術では荷重制限がかかることがあります。
術後2〜3日目
痛みは徐々に軽減します。入院の場合はこのタイミングで退院となることが多いです。日帰り手術の場合、デスクワークなら復帰可能な方もいます。
術後1週間
強い痛みはほぼ消失します。抜糸は術後7〜14日で行われます。軽い運動であれば医師の許可のもと再開できる場合があります。
術後1〜3ヶ月
スクリュー穴が骨で埋まり、強度が回復してきます。この期間中は激しいスポーツや重労働は避けてください。顔面骨の抜釘では、腫れが完全に引いて最終的な仕上がりになるまで3〜6ヶ月かかることがあります。
術後6ヶ月以降
骨の強度がほぼ完全に回復し、スポーツや激しい運動も可能になります。
骨折治療後のピン除去は健康保険が適用されます。手術料は「骨内異物(挿入物を含む。)除去術」として算定され、部位によって点数が異なります。
3割負担の目安
手術料のみで約5,000〜30,000円程度です。入院を伴う場合は入院費(個室代含む)、検査費、麻酔費などが加算され、2泊3日で約5〜10万円程度になります。
高額療養費制度
月間の医療費が一定額を超えた場合、高額療養費制度により自己負担額が軽減されます。所得に応じて上限額が設定されているため、事前に限度額適用認定証を取得しておくと窓口での支払いを抑えられます。
美容整形(骨切り手術)後のピン除去は自由診療となり、全額自己負担です。
部位別の料金相場
オトガイ(顎):約10〜15万円
頬骨体部:約20〜25万円
頬骨弓:約20〜25万円
エラ:約20万円
これに麻酔費(局所麻酔約5万円、静脈麻酔約10万円、全身麻酔約25万円)、CT撮影代(約1.5万円)、血液検査(約1万円)などが加算されます。
民間の医療保険では、抜釘術が給付対象になるかどうかは商品によって異なります。旧型の保険では対象外となることが多いですが、2009年以降の「公的健康保険連動型」の商品では対象となる可能性があります。
入院を伴う場合は入院給付金、日帰り手術でも手術給付金が支払われるケースがあるため、契約している保険会社に確認することをおすすめします。
ピン除去手術を行うかどうかは、メリットとデメリットを比較して個別に判断します。
抜釘を推奨されるケース
小児の骨折で成長障害のリスクがある場合、金属が皮膚に当たって痛みがある場合、金属アレルギーの症状がある場合、将来的に別の手術が予定されている場合は、抜釘が推奨されます。
抜釘を見送るケース
高齢者で手術侵襲が大きい場合、大腿骨転子部骨折など深部にある大きな金属の場合、無症状で日常生活に支障がない場合は、再骨折リスクや身体的負担を考慮して抜釘を見送ることが多いです。
日本と欧米の違い
日本では骨がくっついたら金属を除去する傾向がありますが、欧米では無症状なら除去しないケースが多いです。医師によっても考え方が異なるため、主治医とよく相談することが重要です。
手術時間と侵襲
日帰り手術は手指や手首など小さな部位で選択されます。局所麻酔や伝達麻酔で行い、術後数時間で帰宅可能です。入院手術は大腿骨や顔面骨など広範囲の抜釘で選択され、2泊3日程度の入院が一般的です。
費用
日帰り手術は入院費がかからないため、経済的負担が軽減されます。入院手術は安全管理が徹底されている反面、入院費が加算されます。
術後管理
日帰り手術は自宅での自己管理が必要ですが、多くのクリニックでは24時間対応の連絡先を用意しています。入院手術は医療スタッフによる観察下で過ごせるため、合併症の早期発見に優れています。
情報の引き継ぎ
初回手術を行った病院では、使用したインプラントの製造会社、型番、サイズなどの情報が把握されています。別の病院で抜釘する場合は、この情報を事前に取得する必要があります。
器具の準備
プレートやスクリューには専用のドライバーが必要です。韓国など海外で骨切り手術を受けた場合、日本の一般的なクリニックでは対応する器具がないことがあります。海外製インプラントの抜釘に対応している専門クリニックを選ぶ必要があります。
スクリューの頭部が骨に埋まっていたり、ドライバーが滑って溝が潰れたりすると、金属を完全に除去できないことがあります。
原因
術後長期間(5年以上)が経過し、金属の上に骨が形成されていた。また、術前のCT検査が不十分で金属の埋没状態が把握できていなかった。
対策
抜釘を予定している場合は、骨癒合が確認されたら早めに(1〜2年以内)手術を受けてください。術前には必ずCT撮影を行い、金属の状態を確認できる施設を選びましょう。
金属を除去したにもかかわらず、関節の動きが改善しない、痛みが取れないというケースがあります。
原因
抜釘術は金属という刺激源の除去であり、可動域や痛みの自動改善を保証するものではありません。長期間の固定や運動不足により、関節包の硬化、筋膜の癒着、筋力低下が生じていることが多いです。
対策
術後のリハビリテーションが重要です。理学療法士による可動域訓練、筋力強化、動作再学習を継続的に行うことで改善が期待できます。
スポーツや転倒により、金属除去後の部位が再び骨折してしまうケースです。
原因
スクリューを抜いた穴(スクリューホール)は骨密度が低下しており、完全に埋まるまで6〜12週間かかります。この期間に強い衝撃や荷重がかかると、穴を起点に骨折が生じます。
対策
術後3ヶ月間は激しいスポーツや重労働を避けてください。特に下肢の抜釘後は、医師の許可が出るまでランニングやジャンプを控えましょう。
特に顔面骨の抜釘で、耳前部などに傷跡が残ってしまうケースです。
原因
初回手術と同じ切開線を使用しますが、瘢痕組織の処理が不十分だと傷跡が広がることがあります。また、術後のケアが不適切だと色素沈着やケロイドが生じることもあります。
対策
形成外科や美容外科の経験が豊富な医師を選んでください。術後は紫外線対策を徹底し、医師から処方された外用薬を使用することで傷跡を最小限に抑えられます。
ピン除去手術は「たかが抜釘されど抜釘」と言われるほど、経験と技術が問われる手術です。安全で確実な抜釘を受けるための医師・クリニック選びのポイントを紹介します。
可能であれば、骨接合術を行った病院で抜釘を受けることをおすすめします。使用したインプラントの情報が把握されており、専用器具も揃っているため、スムーズに手術が進みます。
海外で手術を受けた場合や、転居などで同じ病院に通えない場合は、カルテや手術記録を取り寄せて、プレートの製造会社名、製品名、型番、ネジのサイズを把握しておくと、別の施設でもスムーズに対応できます。
整形外科の場合
日本整形外科学会専門医の資格を持ち、骨折治療を多数手がけている医師を選んでください。抜釘術の症例数も確認できると安心です。
美容整形の場合
日本形成外科学会専門医または日本美容外科学会専門医の資格を持ち、骨切り手術と抜釘の両方を経験している医師が望ましいです。特に韓国製インプラントの抜釘に対応できるかどうかを確認してください。
CT撮影で金属の位置と骨への埋没状態を事前に確認できる施設を選びましょう。レントゲンのみでは金属周囲の骨の状態が正確に把握できず、術中に想定外の困難が生じることがあります。
また、血液検査で全身状態を確認し、感染リスクを評価できる体制も重要です。
プレートやスクリューには様々な規格があり、専用のドライバーがないと除去できません。複数のメーカーの器具を揃えている施設は、様々なケースに対応できます。
特に海外(韓国など)で骨切り手術を受けた方は、「韓国製インプラントに対応可能」と明記しているクリニックを選ぶと安心です。

出展先:https://www.veriteclinic.or.jp/
ヴェリテクリニックは、骨切り術などの高度な外科手術を数多く手がけており、術後の細やかなフォロー体制に定評があるクリニックです。
顔面の構造を熟知した医師が揃っているため、他院で挿入したプレートやスクリューの除去についても、組織への負担を考慮しながら進める姿勢を大切にしています。
感染リスクや違和感の解消など、患者さん一人ひとりの目的に合わせた丁寧な診察が期待できるでしょう。
【ヴェリテクリニック 医師】 梅本 泰孝先生
梅本先生は、日本形成外科学会専門医および日本美容外科学会(JSAPS)専門医の資格を持つ実力派の医師です。
診療では、外見の変化だけでなく、機能面や将来的な影響にも配慮した治療方針を重視しています。カウンセリングでは希望や不安を丁寧にくみ取り、施術内容やリスクについても分かりやすく説明する姿勢を大切にしている点が魅力といえるでしょう。
Q.ピン除去手術は必ず受けなければいけませんか?
A.必須ではありません。金属が体内にあっても、無症状で日常生活に支障がなければ除去しないという選択肢もあります。ただし、小児の場合は成長障害の予防のため、また皮膚への刺激症状がある場合は痛みの解消のため、抜釘が推奨されます。日本では除去する傾向が強いですが、欧米では無症状なら残しておくケースも多いです。主治医とメリット・デメリットを相談して決めてください。
Q.骨折から何年くらいでピン除去手術を受けるべきですか?
A.一般的には骨がくっついて(骨癒合後)約1年が目安とされています。骨癒合の確認はレントゲンで行います。ただし、術後5年以上経過すると金属の上に骨ができて取り除きにくくなるため、抜釘を予定している場合は1〜2年以内に行うのが望ましいです。美容整形の骨切り手術では術後3ヶ月〜半年での除去が推奨されることが多いです。
Q.海外で受けた骨切り手術のピン除去は日本でもできますか?
A.対応可能なクリニックを選べば可能です。ただし、プレートやスクリューには各メーカー専用のドライバーが必要なため、韓国製など海外製インプラントに対応する器具を揃えているクリニックを選ぶ必要があります。事前に手術を受けたクリニックから、プレートの製造会社名、製品名、型番などの情報を取得しておくとスムーズです。カルテがなくても、CT画像からある程度推測して対応できるクリニックもあります。
美容医療相談室に届いたピン除去手術の美容医療&美容整形の口コミ・体験談です。
※当相談室でご紹介しているクリニックの口コミではございません。クリニック・医師によりスキルは異なりますので、慎重にお選びください。
美容医療相談室では、みなさまからお寄せいただいた体験談やご意見を元に、治療法に関する情報提供や名医の紹介を行っています。 「治療を受けたことがある」「カウンセリングに行ってみた」「友人が治療を受けた」など、ぜひ口コミ・体験談情報をお寄せください!
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